大気圧プラズマ装置

APリーズ

概要

・真空プロセス不要で材料表面の濡れ性アップ
・小型かつシンプルな装置構成でインライン化が容易
・電子部品向けにチャージアップレスノズルをラインナップ
・低価格かつランニングコストも少ないため導入し易い
・無償デモや装置レンタルも承ります

大気圧プラズマ装置とは

通常の気圧(常圧・大気圧)の中で電力を使って気体を活性化させた状態を「大気圧プラズマ」と呼びます。
この仕組みから、大気中で電気圧縮空気のみでプラズマを生成するのが大気圧プラズマ装置です。
真空プロセスを必要としないという点が最大の特徴で、真空プラズマ装置との違いになります。

大気圧プラズマには、材料表面を酸素を含む官能基に改質して親水性に変化させる効果があります。
他にも材料表面の有機汚染物質を分解反応による除去や、化学活性や特性の変化により、接着や塗装などが
困難とされていた材料の表面を改質することが可能になります。

大気圧プラズマ装置は、一度 導入すればランニングコストがほとんどかかりません。(電極交換/数千時間)
また、電源とプロセスエアーのみのシンプル構成かつ小型な装置のため生産ラインへの組込みが容易です。
有機溶剤プロセスからの切替えプライマーレス化など、ドライ洗浄で環境に配慮した製造に貢献します。

大気圧プラズマの原理・効果

 大気圧プラズマ装置の効果には大きく「表面改質(親水性アップ)」・「洗浄(有機物除去)」が挙げられます。
それぞれの原理を説明致します。

表面改質(親水性アップ) の原理・効果
汎用プラスチックの一種であるオレフィン系の合成樹脂:ポリプロピレン(PP)・ポリエチレン(PE)などは
特に表面に極性基が無いため、接着剤やインクなどに対して親和性が無く接着や印刷が困難です。
大気圧プラズマ装置の放電により放出されたイオンや電子が、これらの樹脂表面の分子化学結合を断ち切り、
樹脂材料に応じて親水性の官能基 水酸基(OH基)・カルボニル基(CO基)・カルボキシル基(COOH基)等を生成し
親水性アップ(=表面改質)します。

大気圧プラズマ装置 改質
表面改質メカニズム

XPS分析結果


洗浄(有機物除去) の原理・効果
大気圧プラズマ洗浄は、活性酸素を利用した洗浄方法になります。
大気圧プラズマ装置により生成された活性酸素=酸素ラジカルが、基材表面の有機物と反応・分解して
CO2やH2O等になり材料表面から除去(脱離)します。

洗浄メカニズム

大気圧プラズマ処理前後のガラス表面:接触角比較

大気圧プラズマ装置 APシリーズの特徴

写真の通り、小型の装置本体とプラズマ照射ノズルの簡単な設備構成となっております。
省スペースに加えて、真空プラズマとは違い真空プロセスを必要としないためインライン化が容易です。
ノズルは逆さまに設置してもプラズマは生成されますので、上向き照射での導入実績もございます。
加えて、APシリーズは下記の特徴を持ったプラズマ装置になります。

・オゾンの発生が少ない
・豊富なプラズマ照射ノズルラインナップ
・独自開発のチャージアップレスノズル
・自動機の設計提案から製造まで対応

オゾンの発生が少ない
オゾン発生がごく微量なため人・環境・設備への負荷が少なく安心・安全にお使い頂けます。

豊富なプラズマ照射ノズルラインナップ
スポット処理はもちろん、回転ノズルを用いることで、より広い面積にプラズマ処理が可能です。
ノズルを複数設置することで150・200・300mm‥と、さらにワイドな面へのプラズマ照射を実現します。

  

パネル処理例:プラズマ照射ノズルを15連結させることで広範囲(幅700mm)へのプラズマ処理


独自開発のチャージアップレスノズル
大気圧プラズマ装置は、電気を使ってプラズマを生成することから、同時に電荷も発生します。
これが電子デバイスなど半導体製品の静電破壊を引き起こしてしまう原因となることから、
今までの大気圧プラズマ装置は、電子デバイスに向けて使用することができませんでした。
APシリーズでは、電気ダメージを大幅に低減する「チャージアップレスノズル」を独自開発しました。
チャージアップレスノズルにより、例えば部品実装された電子基板上へ直接プラズマ処理が可能となり、
封止材注入防湿コートなどの前処理で、密着性向上・ボイド低減による品質改善に貢献します。

  

自動機の設計提案から製造まで対応
大気圧プラズマ APシリーズをプラズマユニットととして、自動機の設計提案から製造まで対応します。

   多軸ロボット       ロール+トラバース装置       大型直交ロボット

装置スペック

型 式   AP-4500  
出 力
500W~1000W (50W刻み) 
ノ ズ ル
固定ノズルもしくは回転ノズル1本(標準)
発 信 周 波 数
20kHz
空 気 圧
0.3~0.4M㎩(クリーンドライエア又はプロセスガス)
消 費 エ ア 流 量
40~50ℓ/min (ノズル1本当たり)
重 量
36~40kg
処 理 幅
5~60mm ノズルにより変更可
ケ ー ブ ル 長
標準3m(最大10m)
入 力 電 源
AC220V±10% 単相10A  ※アース接地必要
外 形 寸 法
幅357mm×奥行540mm×高さ186mm 標準仕様

用途・分野

大気圧プラズマ装置は幅広い用途で効果を発揮します。
以下はあくまで代表例になりますので、代表例以外についても御相談をお待ちしております。
これまでの数多くの対応経験・納品実績から、最適な設備構成を提案致します。
サンプルのデモ処理も無償で承りますので、ぜひお気軽に御問合せ下さい。

<代表例>
・自動車部品関連、FIPGの塗布前処理 (液状ガスケットの塗布前処理)
・難接着材料の接着性改善
 PP、PE、シリコーンゴム、エラストマ(TPO、TPEなど)の接着性改善
 PPE、PEEK、PPS、PESなどのスーパーエンプラの接着性改善
 CFRTPや異素材同士の接着性および接合性の改善
・塗装性、塗膜性の改善樹脂、各種金属、ガラス、印字前、プライマーレス化
・電子部品のパッケージングの前処理
 ポッティング、モールディングにおけるエポキシ、シリコーン系封止材の流動性、密着性改善
・フレキ基板への樹脂保護膜の貼り合せ強度改善
・ホットメルト接着前処理
・ウェット洗浄前の前処理(コンタミネーションの除去効果)など

自動車向け多彩なアプリケーション

 大気圧プラズマ装置 APシリーズは、FIPGの塗布前処理(液状ガスケットの塗布前処理)を始めとして、
樹脂部品やカーナビディスプレイの貼り合せ、複雑形状の内外装部品への塗装・接着前処理に効果的です。
自動車関連に向けて豊富な実績がございます。

  FIPG(液状ガスケット)の塗布前処理に大気圧プラズマ装置を照射することで密着性の改善が期待できます 

大気圧プラズマ紹介動画