シリコンアイランド九州
九州地域では、1960年以降半導体企業による工場立地が進み、「シリコンアイランド」と呼ばれるようになりました。
その背景には、半導体製造に欠かせない良質な水が豊富で、インフラも整っており各方面からのアクセスも容易と、好条件がそろっている事が挙げられます。
その為、大手半導体メーカーが進出する他、多くの地元企業が半導体関連事業に参入し、1980年代には九州地域に半導体クラスターを形成し、米国の「シリコンバレー」にならって「シリコンアイランド」と名付けられました。
2000年以降はその勢いに陰りを見せていましたが、近年、高速通信規格「5G」や自動車産業向けで需要拡大が続き、九州で半導体関連企業の投資が勢いを増している事で、かつてのシリコンアイランド復活の兆しを見せています。
九州の半導体産業
半導体は様々な分野で利用される電子部品で、「イメージセンサー」「パワー半導体」「マイコン」など多岐にわたります。
九州ではこれらの半導体の設計・生産の他、材料や製造装置の生産を行う企業も多数集積しています。
現在では九州における半導体関連企業の集積数は約1,000社とされ、IC(集積回路)の生産では全国シェアの約4割、半導体製造装置では約2割を占める勢いです。
九州経産局によると、2021年4月から23年末までの約2年半で、公表企業ベースの半導体投資額合計が2兆5,500億円超と発表されました。
また、九州の2023年1月から11月のIC(集積回路)累計生産額が16年ぶりに1兆円を超える等、投資額に比例して生産額も高水準になっています。
特に熊本県では、新たに世界最大手の半導体製造企業であるTSMCが進出するなど、今後更に半導体関連各社の設備投資増強、新規拠点進出が活発化する見込みです。 また、近年では長崎県にも拠点進出や増強を行う企業が増え、京セラが諫早市に半導体部品の新工場建設を発表したほか、すでに複数の関連企業が進出しています。
このように、九州各県の交通の利便性、輩出される優秀な人材、水やエネルギーなどのインフラ環境の優位性が高いとして、九州全体の魅力が高まっています。
※経済産業省 九州経済産業局 シリコンアイランド九州の復活に向けて 九州の半導体関連産業の現状 を参照
前工程
半導体企業の投資の中で、半導体ファウンドリー(受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の子会社Japan Advansed Semiconductor Manufacturing(JASM)はスマートフォンや車載向けの需要が大きいロジック半導体の前工程工場建設、三菱電機株・ローム㈱ではSiCパワー半導体の前工程工場の建設を発表するなど、前工程の生産体制強化も増えています。
前工程とは、半導体製造過程の前半、ウエハに電子回路を形成するまでの工程を指します。
弊社では、
バックグラインドやCMPの各種受託加工
や、
前工程で使用されるダミーウエハやウエハキャリア、ウエハテスト冶具の販売など、前工程関連商材の販売も行っています。
車載半導体は、自動運転の為のセンサー、情報処理や、駆動系の需要増が見込まれる。
特に駆動系では、消費エネルギー低減の為にSiCのパワー半導体が重要となっています。
人材育成
九州の半導体産業が盛り上がりを見せる中、半導体人材の育成・確保が喫緊の課題となっています。
弊社と協業している
アスカインデックス(熊本県水俣市)では、半導体人材育成の為に「半導体実技総合大学校」(旧半導体実務研修センター)を運営しています。
ここでは、実際の半導体製造現場で製造装置の仕組みや構造、製造工程を学べる体験型研修施設となっています。
半導体製造を体験できる施設は全国でも少なく、不足している半導体人材育成に大きく貢献しています。
このほか、産学官金が一体となった取り組みも増えており、九州経済産業局、九州半導体・エレクトロニクスイノベーション協議会(SIIQ)では、「九州半導体人材育成コンソーシアム」を組成し、半導体産業の魅力発信、人材育成、サプライチェーンの強靭化に力を入れています。
弊社も加入しているSIIQではこの他にも、半導体、エレクトロニクス関連産業の深耕を目的に、セミナーや研究会の開催、ビジネスマッチング等の支援を行っています。
福岡と熊本の2拠点体制
日本の半導体産業躍進の為、弊社では全国の半導体関連企業のサポートをしています。
九州においても、各社投資が活発化している現状と、今後さらに盛り上がっていく事を想定し、2022年に熊本県(菊陽町)に営業所を開設しており、シリコンアイランド復活の手助けをしていきたいと考えています。※九州内は福岡と熊本の2拠点体制 熊本は九州の中心に位置し、九州でも一番の半導体企業集積地です。
また、鹿児島や宮崎、大分などの九州各県と隣接している事から、各県のお客様へのサポート体制を整えていますので、お困り事が御座いましたら遠慮なくお問い合わせください。
弊社が扱う商材の紹介
ヤマトマテリアルでご紹介が出来る半導体の製造工程・評価テスト・解析・出荷に必要な商品のご紹介です。
パワー半導体の検査:大電流測定が可能なワイヤープローブ
ハイブリッド車や電気自動車には大電流が流れるパワー半導体が多数搭載されています。大電流測定用ワイヤープローブコンタクタは最小40μmピッチで配列することが可能で、極細ピンを多数配列する事で接触抵抗が分散され、1ピン当たりの荷重が小さく接触キズの心配がありません。太いプローブでコンタクトし大きな電流を流すより、安定した接続を実現し信頼性を向上させる事が可能となります。3,000A (パルス) 1,000A (DC)1の検査に使用頂けるコンタクターを提供しております。
パワー半導体の評価:12ビットでリアルな波形を見る事が出来るオシロスコープ
高速な立ち上がり波形の測定には広い帯域と高いCMRR性能をもったプローブが必要となります。パワーエレクトロニクス分野で定評のあるレクロイの12ビット高分解能オシロスコープHDO4000シリーズとDL-ISO光アイソレーションプローブの組み合わせにより帯域~1GHz、入力電圧最大2500V、システムDC精度1.5%の高精度な測定を実現します。
出荷:半導体チップ搬送時の欠け、割れを防ぐユニークなトレイポケット構造
薄い光学ガラスの搬送用トレイもワークへの接触や外形の欠け、割れや発塵などへの対策がとても重要です。これまでのユニークな構造設計がパワーデバイスのチップ搬送用トレイに生かされパワーデバイスの出荷は製造工程内で数多く流通しております。納入前のトレイやウエハケースのクリーン洗浄、クリーンウエアなどの精密洗浄の能力も増強中です。
消耗品:ダミー(テスト)ウエハ
ウエハ工程や組立工程の各種設備のプロセス条件の確認テストや性能評価、設備の動作確認、検査等に使用されるウエハの総称です。評価確認用のウエハですのでパーティクルの管理値が高い高価な量産用のウエハ(プライムグレード)ではなく、これらの工程では安価なダミーウエハ(テストウエハ モニターウエハ)が使用されています。再生ウエハが使用される事もあります。一覧表でパーティクルや方位などをご確認頂き、問題無くお使い頂けるようでしたら在庫も御座いますので即納が可能です。MOQも25枚〜の小ロット対応も可能です。
※P型だけでは無くN型の準備も御座いますのでお声掛け下さい。
評価受託:デバイスやモジュールの試験・環境試験・信頼性試験受託サービス
特に産業用ロボットや電気自動車ハイブリッド車などのキーデバイスであるパワーデバイス(パワーモジュール)の各部材の接合信頼性を評価する試験として採用されています。電気自動車やハイブリッド車のエンジンルーム内に配置される場合は、一般産業用パワー半導体に比べて格段に高いレベルの温度サイクル疲労に対する長寿命化が求められます。その動作寿命推定にパワーサイクル試験 (断続通電試験)が用いられます。パワーサイクル試験 パワーデバイス素子に、規定の電力を消費させ、決められた時間内で断続通電を 行い、試料の信頼性を評価します。同時に熱抵抗測定も可能で、そのデータをホストコンピューターに取りこみます。(IGBT、IPM、DIODEなどを受託対象としています。)
この他、JIS/JEDEC/MIL等の標準規格に準じた環境試験装置を使用し、様々なエレクトロニクス製品、部品、材料の信頼性評価受託試験を承ります。不良解析はSiC,GaNといった化合物半導体の解析にも対応しています。 HTOLカスタム装置のご提案も行っております。